文章を書いたり、イラストを描いたりするときに、「書く」「描く」「画く」……どれを使えばいいの?と迷ったことはありませんか?
この記事では、それぞれの漢字の意味や成り立ち、そして上手な使い分けのポイントをやさしくご紹介します。
「書く」「描く」「画く」ってどう違うの?

「書く」:文字や記号を記すこと
「書く」は、ペンや鉛筆などの筆記具を使って、文字や記号、文章などを紙やノートに記す行為を表します。たとえば、日記を書く、手紙を書く、レポートを書くといった日常の場面でよく使われる言葉です。
文章を書くことで、自分の考えや気持ちを整理したり、相手に想いを伝えたりすることができます。また、「書く」には文字情報を残すという意味もあり、メモを書く、案内板に文字を書くなど、情報伝達にも欠かせない行為です。
「描く」:絵やイメージを表現すること
「描く」は、紙に鉛筆や絵筆を使って絵をかく場合だけでなく、心の中にあるイメージや情景を文章や絵で表すときにも使います。たとえば、風景を描く、夢を描く、物語を描くなどがあります。
「描く」には、具体的な形を視覚的に表現するだけでなく、感情や雰囲気をも含めて伝えるニュアンスがあります。小説や詩などでも、登場人物の心情や状況を「描写する」といった表現で使われます。
「画く」:構想や計画を立てる、古風な表現
「画く」は、現代ではあまり一般的には使われませんが、「未来を画く」「理想を画く」といったように、頭の中で描き出すように大きな構想や計画を立てる場面で使われます。
また、文学や詩などの表現において登場することもあり、やや古風で知的な印象を与える言葉です。画家がキャンバスに絵を描くように、人生のビジョンや社会の理想を「画く」ことで、現実に形を与えようとする意味合いも込められています。
読み方も違う?「書く」「描く」「画く」の読みと使い方の注意点

「書く」「描く」「画く」は、どれも基本的には「かく」と読むことができますが、「描く」と「画く」にはもう一つの読み方「えがく」もあります。この「えがく」という読み方は、特にイメージを表したり、芸術的・文学的な表現に使われることが多いです。
たとえば、「夢を描く」は「ゆめをえがく」と読むのが自然で、「夢をかく」だと少し意味が伝わりにくくなります。同様に、「未来を画く」は「みらいをえがく」と読むことで、未来の構想やビジョンを思い浮かべるような印象になります。
このように、「えがく」という読みは、心の中でイメージするものや抽象的なビジョンを表現する場面でよく使われます。
一方で、「書く」は常に「かく」と読みます。「てがみをえがく」とは言わないですよね。「書く」は実際に文字を記す行動を表すので、「読み方」で混乱することは少ないかもしれません。
大切なのは、漢字の意味だけでなく、文の流れや言葉の使われ方から判断することです。読み方に迷ったときは、前後の言葉や文脈をしっかりと確認すると、自然な読み方が見えてくるはずです。
【早見表】「書く」「描く」「画く」の使い分け一覧
用途 | 適切な漢字 | 例文 |
---|---|---|
文字や文章を記す | 書く | 手紙を書く、日記を書く |
絵やイメージを表現する | 描く | 風景を描く、夢を描く |
計画や構想を立てる | 画く | 未来を画く、理想を画く |
【例文付き】正しい使い分けをマスターしよう

例文を通して、それぞれの「かく」のニュアンスを深く理解してみましょう。文脈によってどの漢字がふさわしいかを意識することで、表現の幅が広がります。
「書く」の例文
- 友達に手紙を書くのが楽しみです。
- 大切なことはノートに書いておきましょう。
- 先生からのアドバイスをメモ帳に丁寧に書いて残しました。
- 子どもが初めて自分の名前を書けるようになって感動しました。
- 毎日、日記を書くことで気持ちの整理ができています。
「描く」の例文
- 夏の思い出を絵に描いてみました。
- 小説では主人公の心の動きが丁寧に描かれていました。
- 子どもたちが自由に未来の町を描いている姿がとても楽しそうでした。
- 絵画コンクールに向けて、風景を丁寧に描きました。
- 物語の中で、登場人物の背景が細かく描かれていて感情移入しやすかったです。
「画く」の例文
- 彼は自分の未来を大きく画いている。
- 計画をしっかり画くことが成功のカギです。
- 起業家は事業のビジョンを明確に画いてから動き始めました。
- 作家は理想の世界を心の中で画いてから、作品に落とし込みます。
- 新しい都市開発のプランを壮大に画いた資料が提出されました。
「書く」と「描く」のセンスある使い分けとは?

創作活動をしていると、「書く」と「描く」のどちらを使えばいいのか、言葉選びに迷ってしまうことはありませんか?特に文章や詩、エッセイ、小説などでは、似たような意味を持つ言葉をどう使い分けるかが、表現の奥行きや繊細さに直結する大切なポイントになります。
「書く」は、文字や文章を構成する作業を意味しますが、それだけでなく、自分の内面を整理し、読者に情報を伝えるための手段でもあります。
一方で「描く」は、感情や情景、登場人物の心理を丁寧に表現するときにぴったりの言葉です。
特に小説や詩などの創作の世界では、登場人物の心の動きや世界観、雰囲気を描写する場面で「描く」という表現がよく使われます。
たとえば、「主人公の成長を書いた物語」よりも、「成長を描いた物語」とすると、単なる出来事の記録ではなく、その背景にある感情や体験の積み重ねまでを含んだ表現になり、より印象的で情緒豊かに感じられるのです。
さらに、視覚的なイメージを読者に想像させたい場合には「描く」を選ぶことで、文章に広がりと深みが生まれます。どちらの言葉を選ぶかは、伝えたい内容と読者に与えたい印象によって変わるため、その都度見直してみると良いでしょう。
学校では教わらない?「画く」の意外な使い方

「画く」という言葉は、日常会話や学校の授業ではほとんど出てこないため、見慣れない・聞き慣れないという方も多いかもしれません。でも実は、この「画く」には独特の深みと美しさがあり、特定の場面では非常に印象的な表現になります。
「画く」は、単なる絵を描くこととは異なり、構想を練る、未来を構想する、あるいは壮大な世界観を頭の中で形づくるというニュアンスを持っています。
そのため、文学作品や詩、演劇、映画などの芸術表現で用いられることが多く、知的で芸術的な印象を与える漢字です。
たとえば次のような使い方があります:
- 壮大な未来を画く
- 人生のビジョンを画く
- 理想郷を心に画く
- 設計図を頭の中に画く
このように、「画く」は心の中で世界を広げるような、創造的な活動をイメージさせます。「描く」と似ているようで、より構造的・計画的な要素を感じさせる点が特徴です。
普段の文章や会話ではあまり見かけない漢字だからこそ、使いこなせると大人っぽく、語彙に深みを持たせることができます。創作活動やプレゼン資料、詩的な表現など、ちょっと特別な場面でこの「画く」を選んでみてはいかがでしょうか?
【チェックリスト】あなたは正しく使えてる?

「書く」「描く」「画く」、それぞれの使い分けができているか、簡単なクイズ形式でチェックしてみましょう。以下の文の空欄に入る正しい漢字を考えてみてください。各文の背景や文脈にも注目してみてくださいね。
- 絵日記に夏休みの思い出を( )。
- 将来の夢を心の中で( )。
- 感謝の気持ちを手紙に( )。
- 計画書に新しいアイデアを( )。
- 自分の人生設計をノートに( )。
- 小説の中で登場人物の性格を丁寧に( )。
じっくり考えてから、下の答えを見てみましょう。
答え:
- 描く(絵や心象の表現)
- 画く(構想を表す)
- 書く(文字にする)
- 画く(構想や計画)
- 書く(実際にノートに記す)
- 描く(人物の描写)
このように、同じ「かく」でも意味や文脈によって使う漢字が変わってきます。普段の文章でも少し意識してみるだけで、表現力がぐっとアップしますよ!
まとめ|「書く」「描く」「画く」を使い分けて表現力アップ!

- 「書く」は文字を記すとき
- 「描く」は絵やイメージを表現するとき
- 「画く」は計画や構想、文学的な表現で使うとき
それぞれの意味を知って使い分けることで、文章や創作がぐっと深くなります。
ちょっとした違いを意識するだけで、言葉の表現が一段と豊かになりますよ。